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「アラカン!」な日々

「アラカン!」公演情報を随時アップ(管理人・唐沢@作者)

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ダメだしなう

 演出の永井さんはとっても忙しい方です。
 劇団に打ち合わせに行っても、「ちょっと前まではここにいた(らしい)」という痕跡のようなものは残っているんですけど、本体には会えなくていっつもすれ違い。
 常に何本も演出をかけもちしていて、ときにはそれプラス書いたり出演したりも加わったりするので、文字通り八面六臂の活躍ぶりです。

 今回も、プロット打ち合わせにはなかなか出てもらえないし、第一稿を送ってもなしのつぶてで、非常に不安な日々を過ごしていました。
 まあ、プロットの段階でGOサインはもらってるから今さらメチャメチャな直しとかは出てこないとは思うけど(上棟式終わったのに「間取り変えたい」みたいな)、やはり演出家がどう思うか、というのは作家としては一番気になるところなので、「まだかまだか」と毎日返信をチェックしては胃の痛くなる思いで待っていました(普通、逆だと思うんだけど…)。

 返事がきたのは第一稿を送ってから4日後でした。
 この4日のなんと長かったことか
 で、そのコメントの内容は

 「お疲れさま〜!オッケーでーす。問題ないです。これでいきましょう

 てなものでは当然なくて、注文が続々と_| ̄|○
 いや、覚悟はしてましたよ。
 書き下ろしなんてそんなに簡単にできあがるものじゃありません。
 どんなに練って練って頭を振り絞って組み立てても、というか、そこまでのめりこんでエネルギーを注げば注ぐほど、自分の中で「客観性」が薄くなっていくという落とし穴があります。

 書く時は誰も助けてくれない、誰も「そこそっちだよ」「あ、いきすぎ。もっと右」なんてスイカ割りみたく教えてくれないから、自分の信念だけで「こっちに行くしかない!」と決めて進むしかない。
 だから、書き終わったら早く目隠しをとってほしい。
 とったらとんでもないものを叩きつぶしたりしてるかもしれないし、それはそれでこわいんだけど、目隠ししてる状態でドキドキしてるよりはマシなわけで。

 で、今ようやくその目隠しがとられたわけですが。
 うーーーん。メールでは厳しい。
 コメントが短すぎてかえって不安が倍増する(旅公演先から携帯メールできてるのでしかたないんだけど)。
 もっと具体的に聞きたい。
 でないと深読みしすぎてさらに悶々としそう。。。

 ということを先方に伝えたところ、ようやく今日の午前中に時間をとってくれることになりました。
 場所はうちの近所の喫茶店です。

 最初はチーズトーストとか食べながら、近況などの当たり障りのない世間話をしつつ場の空気をほぐし、頃合いを見計らって話を本題へ……投げた!

 ……返ってきました。
 うーーーーーん。
 まず最初に思ったのは、「もっとギリギリに出せばよかった」(笑)。
 いや、なまじまだ時間があるだけに「無茶です」とも言いづらく……。

 一言でいえば、「アラカンを見せるためにオセローを使う」にしてほしいのに、「オセローを見せるためにアラカンを使う」になってしまっているということ。
 そう言われると本当におっしゃる通りなんですが、私としては『オセロー』を見せたい→でも観客は『オセロー』を知らない人が多い→知らない人にも『オセロー』がわかるようにまずは説明しなきゃ…というのが大きいから、『オセロー』に割くキャパが増えてしまうのはどうしようもないわけですよ。
 だってわかってもらえないとパロッてることもわからないし。

 ところが、永井さんは「わからなくてもいい」というんですよ。
 「知ってる人は説明しなくてもわかるし、知らない人は説明してもわからないから」と。
 こう書くとなんか傲慢に聞こえちゃうかもしれないけど、たしかにそれはそうなんです。
 知らない人を知ってる人と同じ土俵に持ち上げてから話を始めるのでは尺が足りなくなるのは当然です。
 それよりも「知らなくても楽しめる部分を前面に出してくれ」と。

 うーーーん。
 でもそうなるとせっかくの『オセロー』の仕掛けが〜〜〜。
 な・や・む〜〜〜。

 今回、プロットとはべつに人物設定表というのも作ったんですが、永井さん的にはそっちのほうが気になるらしく、「ここにこんなにおいしいネタがいっぱいあるのにどうしてこれを使わないんだ」としきりに言ってくる。
 だって入れてる余裕ねーし!
 というと、「いやいや、こっちが宝の山でしょ。こっちのネタで3〜4本書けますよ」とあくまでも人物表萌えの姿勢。

 正直、書き終えてすぐに直すのはすごく難しいです。
 頭を根こそぎ切り替えなきゃ「直し」にならないから。
 ただ、言われてることの何割かは自分でもうすうす感じていた違和感だったので、その原因が提示されたのは大きな収穫でした。

 じつは今週末、私の提案で第一稿読み合わせをおこなうことになっているのです。
 書き下ろしだし、役者さんも自分がどんな役なのか早く知りたいだろうし、声に出して読んでもらって初めて見えることもいっぱいあるだろうし、演出家もイメージつかめるだろうし、作家は直しのポイントがわかりやすくなるだろうし、いろいろなメリットがあると思いまして。

 でもこんなに早く書き上がることってないみたいだし、うっかりこんな時期に読み合わせなんてしちゃうと役者さんたちから嵐のように「もっとこうして」「もっともっと」と言いたい放題注文がきちゃうかも…とそれはそれでちょっと胃が痛い。
 「こんなに早く書けるんならまだまだ直せるじゃん!」とか言われそうだし。

 とりあえず、読み合わせは第一稿のままやって、その後あらたな気持ちでゆっくり第二稿に取り組もうと思います。
 「いやいややる」のではなく、「言われたことよりもさらに斜め上までいったものを返す」という意気込みでなければ「直し」はできないですからねー。

 まだまだ胃の痛い日は続きます
 まあでっかいチーズトースト食いながら言われても説得力ないでしょうけど……。

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公演概要



テアトル・エコー公演vol.142「アラカン!」

作  ●唐沢伊万里
演 出●永井 寛孝

公演日●2011年11月
    11日(金)19;00
    12日(土)14;00
    13日(日)14;00
    14日(月)19;00
    15日(火)19;00
    16日(水)14;00
    17日(木)14;00
    18日(金)14;00
    19日(土)14;00
    20日(日)14;00
    21日(月)19;00
    22日(火)19;00
    23日(水)14;00
         計13回公演

料 金●一般5,000円(全席指定)
会 場●エコー劇場(恵比寿)
前 売●10月8日開始
問合せ●テアトル・エコー
※割引料金、出演者情報などの詳細はエコーHPにてご確認ください。 ※16日は終演後シアタートークあり。

プロフィール

HN:
唐沢伊万里
性別:
女性
職業:
劇作家
趣味:
ガーデニング

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