「アラカン!」な日々
「アラカン!」公演情報を随時アップ(管理人・唐沢@作者)
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- 2011/11/28 (Mon)
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チケットの精算も済み、なんとか一息つけそうな雰囲気になってきたので、これから少しずつ『アラカン!』誕生までのあれこれについて書いていこうと思います。
まず、今回の話を書こうと思った最初のきっかけについて。
これは今から5年前、2006年のことです。
この年、蜷川幸雄さんのプロジェクトとして「さいたまゴールド・シアター」という55歳以上の人を対象とした劇団が発足しました。
2006年というのは、いわゆる団塊の世代が一斉に定年を迎える2007年の前年にあたり、これまでのシニアのイメージを一新するだろうと言われた団塊世代のマーケットを狙ってさまざまなシニア向けビジネスが動き出した年でした。
「さいたまゴールド・シアター」もそんなビジネスのうちの一つだったと思うのですが、新聞でこのニュースを読んだ瞬間、私の中ですごくざわめくものがあったのです。
まだ告知の段階だったけど、「これは当たる!」「すごいところに目をつけたな」という確信を持ちました。
その予想通り、「さいたまゴールド・シアター」には20人の募集枠に1200人が応募するという、ほとんど事件といってもいいほどの反響を呼びました。
今やシニア劇団は「さいたまゴールド・シアター」に限らずあちこちで誕生し、すっかり市民権を得ていますが、この劇団がさきがけとなったことは間違いないでしょう。
多分、このときから私の心の中で「シニア劇団を舞台にした話を書いてみたい」という気持ちが芽生えていたのだと思います。
が、もちろん、漠然とひっかかっただけで、上演してもらうあてがあるわけでもないし、時々心の隅からとりだしてはいろいろな角度から眺めまわしていたにすぎませんでした。
ただ、最初からはっきりしていたのは、シニア劇団を通して描きたいのは「いきいきと輝くシニア」ではないということです。
私が興味をひかれたのは、「いきいきシニア」に乗り込まれたプロのリアクションのほうでした。
そっちのほうが想像していてワクワクするし、話も広がっていくように思えたのです。
ためしに何度か、まわりの友人知人(非演劇業界の)に「こういうシチュエーションでアマチュアがプロの職場に乗り込んでくるのってどう思う?」と聞いてみたのですが、専門職と言われる職種の人たちは、一様に「生理的にものすごい抵抗を感じる。想像するだけで無理!」と反応してきました。
その反応を見て、ますます「これはおもしろい話になるかも」という確信が育っていきました。
最初に頭に浮かんだのは、シニアの指導を任された演出家がシニアたちと同じ年代だったらどうだろうということ。
シニアたちの中に近所の知人とか入ってたらいやだろうな。
そのご近所さんは生活に余裕のあるサラリーマンで、「俳優さん」というお仕事に興味津々で、公演案内とか渡すと憧れの目で見られちゃったりするんですよ。
そういう関係のときはいいご近所さんなんだけど、定年を迎えたその人が自分の劇団のシニア部に入ってきちゃったらどうだろう。
関係ない人生を送っていてくれればなにも感じなかっただろうに、自分の人生にかかわってこられたらそれはきついだろうな。
うわー、きつい。考えるだにきついよ、それは。
…と、心の中でその演出家をいかにして追いつめるかというシチュエーションをあれこれ考えては楽しんでいました。
それから3年たった頃、思いがけずその空想が実現するチャンスが舞い込んできました。
テアトル・エコーの2011年本公演のレパートリー会議に書き下ろし企画を提出してみないかという提案を受けたのです。
ところがちょうどこのとき、私は乳がんの告知を受けていて、正直なところ2年後のことなど考える余裕がなかったのですが、なんのクレジットもない私に「本公演で書き下ろしを!」と願って動いてくれる劇団員がいることがとてもありがたく、とにかく3年間ひっかかっていた「シニア演劇ネタ」を出してみることにしました。
タイトルは『アラカン!』。
ずっと温めてきたのは『R55』というタイトルだったのですが、たまたまこの年「アラフォー」という言葉が流行語となり、そこから派生した「アラカン(アラウンド還暦)」という言葉もはやり始めていたのでこれを使ってみました。
流行語は2年後だと微妙かなーとも思ったのですが、まあとりあえずの仮タイトルだしいいか…ってことでこれで提出しました(結果的にはそのまま正式タイトルになったわけですが)。
最初に出した企画書は以下のようなものでした。
レパートリー会議といっても、他の候補はすでにできあがっている作品ばかりです。
新作で、なおかつこれしか材料がないのですから、年2本しか枠がないレパートリーにランクインするのはかなり難しいだろうと思っていました。
しかもうち1本は再演ものがほぼ当確していた状態だったので、枠は事実上1つという状態。
ところが……「アラカン」という響きが妙にフィットしたのか、プレゼンターの説得力か、演出をひきうけてくれた永井さんのクレジットか……投票の結果、思いがけずこの企画が通ってしまったのです。
2009年9月30日。
『アラカン!』が誕生にむけて動き出した記念すべき日。
嬉しいはずの日でしたが、その2日前、母が乳がん転移の告知を受けるという真っ暗な出来事がありました。
自分の病気もあり、立っているのがやっとという状況でしたが、「企画が通りました」という電話を受けて、「母に絶対この作品を見せたい」という希望を支えに、それからの長い道のりを歩む決意を固めたのでした。
まず、今回の話を書こうと思った最初のきっかけについて。
これは今から5年前、2006年のことです。
この年、蜷川幸雄さんのプロジェクトとして「さいたまゴールド・シアター」という55歳以上の人を対象とした劇団が発足しました。
2006年というのは、いわゆる団塊の世代が一斉に定年を迎える2007年の前年にあたり、これまでのシニアのイメージを一新するだろうと言われた団塊世代のマーケットを狙ってさまざまなシニア向けビジネスが動き出した年でした。
「さいたまゴールド・シアター」もそんなビジネスのうちの一つだったと思うのですが、新聞でこのニュースを読んだ瞬間、私の中ですごくざわめくものがあったのです。
まだ告知の段階だったけど、「これは当たる!」「すごいところに目をつけたな」という確信を持ちました。
その予想通り、「さいたまゴールド・シアター」には20人の募集枠に1200人が応募するという、ほとんど事件といってもいいほどの反響を呼びました。
今やシニア劇団は「さいたまゴールド・シアター」に限らずあちこちで誕生し、すっかり市民権を得ていますが、この劇団がさきがけとなったことは間違いないでしょう。
多分、このときから私の心の中で「シニア劇団を舞台にした話を書いてみたい」という気持ちが芽生えていたのだと思います。
が、もちろん、漠然とひっかかっただけで、上演してもらうあてがあるわけでもないし、時々心の隅からとりだしてはいろいろな角度から眺めまわしていたにすぎませんでした。
ただ、最初からはっきりしていたのは、シニア劇団を通して描きたいのは「いきいきと輝くシニア」ではないということです。
私が興味をひかれたのは、「いきいきシニア」に乗り込まれたプロのリアクションのほうでした。
そっちのほうが想像していてワクワクするし、話も広がっていくように思えたのです。
ためしに何度か、まわりの友人知人(非演劇業界の)に「こういうシチュエーションでアマチュアがプロの職場に乗り込んでくるのってどう思う?」と聞いてみたのですが、専門職と言われる職種の人たちは、一様に「生理的にものすごい抵抗を感じる。想像するだけで無理!」と反応してきました。
その反応を見て、ますます「これはおもしろい話になるかも」という確信が育っていきました。
最初に頭に浮かんだのは、シニアの指導を任された演出家がシニアたちと同じ年代だったらどうだろうということ。
シニアたちの中に近所の知人とか入ってたらいやだろうな。
そのご近所さんは生活に余裕のあるサラリーマンで、「俳優さん」というお仕事に興味津々で、公演案内とか渡すと憧れの目で見られちゃったりするんですよ。
そういう関係のときはいいご近所さんなんだけど、定年を迎えたその人が自分の劇団のシニア部に入ってきちゃったらどうだろう。
関係ない人生を送っていてくれればなにも感じなかっただろうに、自分の人生にかかわってこられたらそれはきついだろうな。
うわー、きつい。考えるだにきついよ、それは。
…と、心の中でその演出家をいかにして追いつめるかというシチュエーションをあれこれ考えては楽しんでいました。
それから3年たった頃、思いがけずその空想が実現するチャンスが舞い込んできました。
テアトル・エコーの2011年本公演のレパートリー会議に書き下ろし企画を提出してみないかという提案を受けたのです。
ところがちょうどこのとき、私は乳がんの告知を受けていて、正直なところ2年後のことなど考える余裕がなかったのですが、なんのクレジットもない私に「本公演で書き下ろしを!」と願って動いてくれる劇団員がいることがとてもありがたく、とにかく3年間ひっかかっていた「シニア演劇ネタ」を出してみることにしました。
タイトルは『アラカン!』。
ずっと温めてきたのは『R55』というタイトルだったのですが、たまたまこの年「アラフォー」という言葉が流行語となり、そこから派生した「アラカン(アラウンド還暦)」という言葉もはやり始めていたのでこれを使ってみました。
流行語は2年後だと微妙かなーとも思ったのですが、まあとりあえずの仮タイトルだしいいか…ってことでこれで提出しました(結果的にはそのまま正式タイトルになったわけですが)。
最初に出した企画書は以下のようなものでした。
花も嵐も踏み越えて、雄々しく高度成長期を駆け上ってきた団塊世代もいよいよ定年を迎える時代になった。
赤いちゃんちゃんこなんてまっぴらごめん。
まだまだ一花も二花も咲かせたい。
というわけで、貪欲な「アラカン(アラウンド還暦)」の男女たちが、諦めていた若き日の夢を叶えようと、とある劇団の「シニア部」に集まってきた。
彼らの指導をおおせつかった演出家は、これまた「アラカン」の元役者。
夢の一本道に進んだ彼は、結局思い描いていたような人生を手に入れることができなかった。
夢を選べなかった同世代の仲間が、今になって自分の領域に入り込んでくることに複雑な思いを抱く演出家…。
一方、演出助手についたのは、今年研修所を出たばかりの新米役者。
わがままな役者にやる気のない演出家…と、一癖も二癖もあるアラカンたちを相手に悪戦苦闘。
はたしてこの問題多きカンパニーは無事にひとつの舞台を作り上げることができるのだろうか?
60は惑いの年。
60は再生の年。
今まで歩んで来た道を振り返り、もうひとつの人生に思いを馳せる年。
「アラカン」たちの第二の青春の幕が今開く!
レパートリー会議といっても、他の候補はすでにできあがっている作品ばかりです。
新作で、なおかつこれしか材料がないのですから、年2本しか枠がないレパートリーにランクインするのはかなり難しいだろうと思っていました。
しかもうち1本は再演ものがほぼ当確していた状態だったので、枠は事実上1つという状態。
ところが……「アラカン」という響きが妙にフィットしたのか、プレゼンターの説得力か、演出をひきうけてくれた永井さんのクレジットか……投票の結果、思いがけずこの企画が通ってしまったのです。
2009年9月30日。
『アラカン!』が誕生にむけて動き出した記念すべき日。
嬉しいはずの日でしたが、その2日前、母が乳がん転移の告知を受けるという真っ暗な出来事がありました。
自分の病気もあり、立っているのがやっとという状況でしたが、「企画が通りました」という電話を受けて、「母に絶対この作品を見せたい」という希望を支えに、それからの長い道のりを歩む決意を固めたのでした。
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千龝楽なう
- 2011/11/25 (Fri)
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11月23日。
『アラカン!』、千龝楽を無事迎えました。
初日の幕が開くまでは劇団中が不安で充満していました。
稽古期間が短かったこと。
その短さの中でもさらにアクシデントで稽古に出られない人が相次ぎ、まったく余裕がなかったこと。
といった物理的な理由に加え、内容的にも新作というのはまだ誰も完成品を観たことがないし、評価も受けたことがないため、どの人にも少しずつ「恐怖」があったこと。
しかも内容は「バックステージもの」。
自分たちの仕事場が舞台となり、役者が役者を演じるため、微妙な問題がいろいろ出てきます。
知り過ぎているだけに向き合いたくないこともあるだろうし、「役」と「自分」をごっちゃにして冷静さを失う危険もありました。
「こんなセリフ言えない」と抵抗を示され、変更されたこともありました(←まだカットにこだわってる)。
結果的に観客に受け入れられた…という事実のあとならばなんとでも言えますが、稽古段階では実績のない新人作家ということがすべてマイナスに働きました。
言いたいこと、伝えたい事はすべてこの作品の中にある。
でもホンだけでキャストスタッフを説得できない、動かせないという無力感。
変えられるたびに「そうじゃなくて」「そういうことが言いたいんじゃなくて」と後ろから羽交い締めにしてとめたい気分だったけど、稽古に入ったら作品はもう現場にいる人のもの。
彼らが作品を愛し、よりよいものにしようと全力を注いでくれることを信じるしかない。
それでも不安の矛先がこちらに向いてくるのはどうしようもなく、稽古場に出るのも正直とても気の重い日々でした。
役者の皆さんが本当に余裕がないというのも見ていてわかったし。
そのピリピリした緊張感が一気に至福の喜びに変わった瞬間。
それが初日の公演でした。
まさしくオセロゲームの駒が一瞬で反転するかのように…。
夢にも思わなかったダブルコールが起こったとき、オセロー役の根本さんはすでに楽屋にひきあげていたそうです。
楽屋のモニタでダブルコールが起きていることを知り、あわてて階段をかけおりて舞台に戻ったけれど、最初は何が起こってるのかわからず、拍手を聞いて初めてぶわっと涙が噴き出たそうです。
「幸せだった」
その一言が出演者全員の気持ちだったと思います。
私は全公演観たわけではないんですが、個人的には初日の公演が一番よかったと思います。
舞台じたいの出来とかお客さんの反応とか、それは毎日違うのでもっとよかった日もあるんだけど、初日はやっぱり特別。
それはやる方も観るほうも「すがるもの」がいっさいない状態で真剣勝負をしているからです。
2日目以降は、「この芝居が受け入れてもらえた」という確信が安心感になり、どうしても初日ほどの緊張感はなくなるし、もっといいとこを見せようとして個人プレーが多くなってきたりします。
一方、観客のほうも口コミなどである程度前評判をきいてくる人が増えてくるので、まっさらな目ではなくなります。
「初日好き」のお客さんはそういうことも含めて初日を観たがるんでしょうね。
千龝楽もまた特別な日です。
すべてのセリフ、動作に「もうこれが最後なんだな」「二度とできないんだな」という思いがまとわりつき、いつもよりいっそう「無常感」が漂います。
すべてを出しつくそうというみんなの気持ちで、いったん個人プレーに傾きかけた部分が再び一体感へと集約されていき爆発!…って感じでしょうか。
その結果、千龝楽ではついにトリプルコールが起こりましたw(°0°)w
それはもう言葉では言い表せないほどの感慨でした。
今回、作家も無名だし、作品も新作だし、評価のさだまった翻訳ものでもないし、本公演といえども劇団の看板スター(熊倉さんとか安原さんとか)が出ている訳でもないし…ということで、公演前のパブリシティーではけっこう苦戦していました。
プレス担当者への案内状も精一杯興味をひくように書いてみましたが、反応はさっぱり。
取材にきてくれるところもなく、通り一遍の公演情報が載るのみ。
ただでさえ公演数の多い季節ですからしかたがないとはいえ、「こんなものでしょ」と諦めてる風の制作の空気もなんとなくかいまみえたりして、もどかしさでいっぱいでした。
とにかく前半は埋めようよ!
必死に埋めようよ!
もし内容がよければ後半は口コミで埋まるから!
そう言い続けて死にものぐるいで売りましたが、これに関しては売るほうにも温度差があるので一人でどうにかするのも限界があり…。
案の定、危惧していた平日ソワレが薄くなり、前半でほぼ満席にできたのは初日とそれに続く土日のみでした。
ところが…。
初日があけて日が経つにつれて、追加注文が目に見えて増え始めたのです。
シアタートーク以降は次々に売り止めになり、「どこでもいいから入れてくれ」とチケットブースで訴えるお客様をお断りせざるをえないこともしばしば。
やる方としては「こんなことなら追加公演を」と思いたくなりますが、前売りの時点で完売とかにならない限り、初日があいてから追加公演を入れるというのは無理。
残念ですがしかたありません。
「再演を」「旅公演を」という気の早い声もありますが、公演のレパートリーはかなり先まで決まってますし、上演にこぎつけるにはいろいろな条件をクリアしなければなりません。
そう考えると、「今、この瞬間に、同じ場所で、初めて出会った役者と観客がたったひとつの世界を作り上げる」というのは一回一回が「奇跡」なんだなとあらためて思います。
個人的な話ですが、私自身も健康状態の悪化があって、いつまで自分の力を出し切れる作品が書けるのか自信がありません。
「これが遺作かも」というとみんな本気にしないんですが、そのくらいの気持ちで書いているのは本当です。
もし元気だったらこんな内幕ブログ書かないし。
もっと劇団とうまくやって、次につなげなきゃと思うし。
一時的な病気ならいいんだけど、私の場合は治るものではないし、書けば確実に寿命縮めるし、QOLとの相談でやってる状態なので、書くときは命削る覚悟でやるしかないのです。
打ち上げでも気軽に「新作を」とか「今度はこんな話を」とか連呼されましたが、「一回の新作につき、腫瘍が何ミリ増大する」とかそれくらい具体的にシビアな状態なんで、それでも書きたいと思えなければ書けないです。
今日は母の二回目の命日。
母は私と同じ病気だったんですが、ちょうど今回の公演の話が決まった直後に一気に病気が進行し、「私はクリスチャンだから死ぬのはこわくないけど『アラカン!』を観られないのだけは悔しい」と言いながらこの世を去りました。
そのどん底からここまで力を出し尽くせたのも、母に胸を張って見せられるものを作りたいという気持ちに支えられてきたからです。
身体の弱かった母だけど、今回は肉体からも自由になり、連日でも劇場通いができたと思います。
満足してくれたかな……。
『アラカン!』、千龝楽を無事迎えました。
初日の幕が開くまでは劇団中が不安で充満していました。
稽古期間が短かったこと。
その短さの中でもさらにアクシデントで稽古に出られない人が相次ぎ、まったく余裕がなかったこと。
といった物理的な理由に加え、内容的にも新作というのはまだ誰も完成品を観たことがないし、評価も受けたことがないため、どの人にも少しずつ「恐怖」があったこと。
しかも内容は「バックステージもの」。
自分たちの仕事場が舞台となり、役者が役者を演じるため、微妙な問題がいろいろ出てきます。
知り過ぎているだけに向き合いたくないこともあるだろうし、「役」と「自分」をごっちゃにして冷静さを失う危険もありました。
「こんなセリフ言えない」と抵抗を示され、変更されたこともありました(←まだカットにこだわってる)。
結果的に観客に受け入れられた…という事実のあとならばなんとでも言えますが、稽古段階では実績のない新人作家ということがすべてマイナスに働きました。
言いたいこと、伝えたい事はすべてこの作品の中にある。
でもホンだけでキャストスタッフを説得できない、動かせないという無力感。
変えられるたびに「そうじゃなくて」「そういうことが言いたいんじゃなくて」と後ろから羽交い締めにしてとめたい気分だったけど、稽古に入ったら作品はもう現場にいる人のもの。
彼らが作品を愛し、よりよいものにしようと全力を注いでくれることを信じるしかない。
それでも不安の矛先がこちらに向いてくるのはどうしようもなく、稽古場に出るのも正直とても気の重い日々でした。
役者の皆さんが本当に余裕がないというのも見ていてわかったし。
そのピリピリした緊張感が一気に至福の喜びに変わった瞬間。
それが初日の公演でした。
まさしくオセロゲームの駒が一瞬で反転するかのように…。
夢にも思わなかったダブルコールが起こったとき、オセロー役の根本さんはすでに楽屋にひきあげていたそうです。
楽屋のモニタでダブルコールが起きていることを知り、あわてて階段をかけおりて舞台に戻ったけれど、最初は何が起こってるのかわからず、拍手を聞いて初めてぶわっと涙が噴き出たそうです。
「幸せだった」
その一言が出演者全員の気持ちだったと思います。
私は全公演観たわけではないんですが、個人的には初日の公演が一番よかったと思います。
舞台じたいの出来とかお客さんの反応とか、それは毎日違うのでもっとよかった日もあるんだけど、初日はやっぱり特別。
それはやる方も観るほうも「すがるもの」がいっさいない状態で真剣勝負をしているからです。
2日目以降は、「この芝居が受け入れてもらえた」という確信が安心感になり、どうしても初日ほどの緊張感はなくなるし、もっといいとこを見せようとして個人プレーが多くなってきたりします。
一方、観客のほうも口コミなどである程度前評判をきいてくる人が増えてくるので、まっさらな目ではなくなります。
「初日好き」のお客さんはそういうことも含めて初日を観たがるんでしょうね。
千龝楽もまた特別な日です。
すべてのセリフ、動作に「もうこれが最後なんだな」「二度とできないんだな」という思いがまとわりつき、いつもよりいっそう「無常感」が漂います。
すべてを出しつくそうというみんなの気持ちで、いったん個人プレーに傾きかけた部分が再び一体感へと集約されていき爆発!…って感じでしょうか。
その結果、千龝楽ではついにトリプルコールが起こりましたw(°0°)w
それはもう言葉では言い表せないほどの感慨でした。
今回、作家も無名だし、作品も新作だし、評価のさだまった翻訳ものでもないし、本公演といえども劇団の看板スター(熊倉さんとか安原さんとか)が出ている訳でもないし…ということで、公演前のパブリシティーではけっこう苦戦していました。
プレス担当者への案内状も精一杯興味をひくように書いてみましたが、反応はさっぱり。
取材にきてくれるところもなく、通り一遍の公演情報が載るのみ。
ただでさえ公演数の多い季節ですからしかたがないとはいえ、「こんなものでしょ」と諦めてる風の制作の空気もなんとなくかいまみえたりして、もどかしさでいっぱいでした。
とにかく前半は埋めようよ!
必死に埋めようよ!
もし内容がよければ後半は口コミで埋まるから!
そう言い続けて死にものぐるいで売りましたが、これに関しては売るほうにも温度差があるので一人でどうにかするのも限界があり…。
案の定、危惧していた平日ソワレが薄くなり、前半でほぼ満席にできたのは初日とそれに続く土日のみでした。
ところが…。
初日があけて日が経つにつれて、追加注文が目に見えて増え始めたのです。
シアタートーク以降は次々に売り止めになり、「どこでもいいから入れてくれ」とチケットブースで訴えるお客様をお断りせざるをえないこともしばしば。
やる方としては「こんなことなら追加公演を」と思いたくなりますが、前売りの時点で完売とかにならない限り、初日があいてから追加公演を入れるというのは無理。
残念ですがしかたありません。
「再演を」「旅公演を」という気の早い声もありますが、公演のレパートリーはかなり先まで決まってますし、上演にこぎつけるにはいろいろな条件をクリアしなければなりません。
そう考えると、「今、この瞬間に、同じ場所で、初めて出会った役者と観客がたったひとつの世界を作り上げる」というのは一回一回が「奇跡」なんだなとあらためて思います。
個人的な話ですが、私自身も健康状態の悪化があって、いつまで自分の力を出し切れる作品が書けるのか自信がありません。
「これが遺作かも」というとみんな本気にしないんですが、そのくらいの気持ちで書いているのは本当です。
もし元気だったらこんな内幕ブログ書かないし。
もっと劇団とうまくやって、次につなげなきゃと思うし。
一時的な病気ならいいんだけど、私の場合は治るものではないし、書けば確実に寿命縮めるし、QOLとの相談でやってる状態なので、書くときは命削る覚悟でやるしかないのです。
打ち上げでも気軽に「新作を」とか「今度はこんな話を」とか連呼されましたが、「一回の新作につき、腫瘍が何ミリ増大する」とかそれくらい具体的にシビアな状態なんで、それでも書きたいと思えなければ書けないです。
今日は母の二回目の命日。
母は私と同じ病気だったんですが、ちょうど今回の公演の話が決まった直後に一気に病気が進行し、「私はクリスチャンだから死ぬのはこわくないけど『アラカン!』を観られないのだけは悔しい」と言いながらこの世を去りました。
そのどん底からここまで力を出し尽くせたのも、母に胸を張って見せられるものを作りたいという気持ちに支えられてきたからです。
身体の弱かった母だけど、今回は肉体からも自由になり、連日でも劇場通いができたと思います。
満足してくれたかな……。
カットはこわい!
- 2011/11/19 (Sat)
- その他 |
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もう少し頻繁にレポをアップしようと思っていたのに、前のレポからはや1週間。
公演は、中日も過ぎてすでに後半戦に入ってます。
お陰さまでレビューの評判もよく、追加注文も相次ぎ、ダブルコールも連日続いているようです。
11日の初日のあと、13日、15日、シアタートークのあった16日…とこれまで4回通いましたが、やはり私の乏しい体力ではこれでもいっぱいいっぱい。
劇場に行かない日はゆっくり休もうと思いつつも、身体の緊張がずっと解けないままなので(これが解けたときは入院するときになるかも…)、休みたくても休まらず。
寝付くのは眠剤飲んでなんとかなるんだけど、いつもより平均2時間くらい早くに目が覚めてしまうのはどうにもならず。
普通だったら「もっと寝る〜」って思えば何度寝でもできるんだけど、今は一度目が覚めるともう眠れません。
やっぱ寝てても緊張解けてないんですね。
胃の調子も一時よりは回復したけど、ちょっと油断するとまたすぐにダメージがくるので気を許せません。
まあ、そんな話はどうでもいいんですが、本題はここから。
これから観る人のためにネタバレは極力避けようと思っていたのですが、ちょっとショックなことに気づいてしまったのでこれは書こうと思います。
今回の作品、もとは多分3時間くらいあったと思います(稿を重ねて自分なりにストイックに削りまくったつもりですが)。
正直、長いです。
大劇場系の演目はけっこう長いのが当たり前だったりしますが(休憩時間も長いですし)、決して座り心地のよい椅子とは言えない狭い劇場でストレートプレイ3時間というのは、いくら休憩を入れたとしても長いです。
「おもしろければ3時間でもあっという間だが、つまらなければ30分でもお尻が痛くなる」…というのは舞台をよく観る人なら実感することではあるのですが、蓋を開けてみなければ、おもしろくなるかどうか、短く感じてもらえるかどうかがわからない新作の場合、長時間になるのは非常にリスキーと言わざるをえません。
実際、エコーでいつも上演する作品では2時間半を越えるものはまずないと思います。
そういうわけで、なんだかんだで合計すると30分くらいカットされました。
カットが嬉しい作家なんてまずいないと思います。
誰よりも長く作品と向き合ってきたのですから、一字一句削られたくないというのが本音です。
一言切られるたびに文字通り身を切られるような思いをします。
それでも「全体を短くするためにはどこかを切らなければしかたないんだ」と自分に言い聞かせるわけですが、セリフを切っておいてべつの場所で余計なセリフをいつのまにか加えられてたりすると「こんなの足せる余裕があるんならさっきのセリフ戻してよ」と思うときもあります。
まあ、思うだけで言いませんけどね。
もちろん、作家以外だからこそできる「なるほど〜」というカットもたくさんあります。
セリフ以外のもの(おもに演出ですが)が加わることで「あ、このセリフは不要だわ」と気づくこともありますし。
でも、カットのこわいところは、その部分じゃなくて他に影響が出るってこと。
カット前には成立していたバランスが、ひとつのセリフをカットすることで崩れてしまう場合があるんです。
バランスっていうか、「設定」って言ったほうが近いかな。
作家や演出家はカット前の状態を知っているから、それが脳内にインプットされちゃって、削ってもパソコンのキャッシュみたいな感じで残っちゃってる。
でも当然のことながら観客はカット前に入ってたセリフなんて知らないし、何度も観るわけではないので、何度も何度も読み返して再現して確認しているキャストやスタッフとはスタンスが違う。
その違いっていうのが、意外に落とし穴になるんですよね。
今回、観てきた人の感想を聞いているうちに、思いがけずそれをみつけてしまったんです。
それは冒頭に流れる劇団明星の創設者・広川(納谷さん)のセリフ。
以下、台本から転載します。
実際はもう少し短く刈り込まれていますが、冒頭で暗闇の中からこのセリフが流れてきて、そこから話が始まります。
さらに、何度か場面転換のときに広川の肖像画(稽古場に掲げられているという設定)に照明が当たり、その都度同じセリフが繰り返され、それに対して登場人物がそれぞれリアクションのセリフを返すわけです。
じつはこのセリフ、『オセロー』のセリフからの引用なのですが、それがわからなかった人が予想以上に多かったんです。
いや、お客さんが『オセロー』を知らないのはいいんです。
逆にこのセリフをきいただけでいきなり『オセロー』のあの場面のセリフだなとわかる人のほうが非常に限られてると思います。
でも、これが『オセロー』のセリフだということは、知らない人でも最後まで観ればわかるように初稿ではなっていたんですよ。
舞台では、アラカンたちによって再現される『オセロー』の劇中劇が何度か差し挟まれるんですが、その中に同じセリフが出てくるんです。
具体的にはオセローがデズデモーナに「おまえ、俺を裏切っただろ」とネチネチ責め立てるシーンですが。
そこを観れば「ああ、さっきから納谷さんの声で何度も流れるあのセリフってこのシーンのセリフだったんだ」「昔、広川が演じたときのオセローのセリフだったんだ」と普通にわかるようになってたわけで、八神が片瀬に向かって言い放つ「将軍、用心なさい。嫉妬というやつに。こいつは緑の目をしたバケモノです」というセリフも、次の稽古場シーンで八神演じるイアーゴーが同じセリフを言うので『オセロー』のどこで出てくるセリフなのかわかる。
ところが、劇中劇のシーンが長過ぎるということで、かーなーりーバサバサ切りまくった結果、冒頭のセリフもカットされてしまったんですね。
そりゃあわかんないわなー。
なんかあれ、広川自身のセリフ(リアルなセリフではなく警句のような抽象的なイメージ)だと思ってる人が多いようで。
台本には「『オセロー』第4幕第2場のセリフ」と但し書きがつけてあるし、関係者はもうオセローのセリフだってわかってるんで、わかんないとか思いもしなかったんですが、それだけにショックでした。
まあ、それでも本編に支障がないといえばないんだけど、自分の中では『オセロー』の中であのセリフをみつけた瞬間から、他の話がすべて『オセロー』がらみでたちあがってきたという経緯があるので、 (´・ω・`)ショホ゛ーンでした。
自分のアイデンティティーとなる「神聖な泉」が、オセローにとってはデズデモーナだったわけですが、じゃあ片瀬にとっては?…月島にとっては?…八神にとっては?…と順番に語られていき、もっとふくらんでアラカンたちにとっては?…明星にとっては?…役者にとっては?…観客にとっては?……と広がっていけばいいなと思ったんですが、オセローにこだわった意味がカットされるたびに削られていってしまうのがちょっと寂しかったです。
上演中にこんなことを書くのはルール違反かもしれません。
上演されたらもうその作品は作家のものではなくなりますし、どう受け取られようとそれはそれでまるごと受け止めなければいけないということはわかっているのですが、何人もの人から「え?あれオセローのセリフだったの?」と言われたのがショックだったのと、その原因があのカットにあったのか!と気づいたことがショックだったのと、二重にショックだったので思わず書いてしまいました。
ネタバレというたぐいの話ではないので書きましたが、やっぱりカットって難しいですね。
小椋キャシオーではないですが「失敗した〜。カットはこわ〜い!」という気分です。
公演は、中日も過ぎてすでに後半戦に入ってます。
お陰さまでレビューの評判もよく、追加注文も相次ぎ、ダブルコールも連日続いているようです。
11日の初日のあと、13日、15日、シアタートークのあった16日…とこれまで4回通いましたが、やはり私の乏しい体力ではこれでもいっぱいいっぱい。
劇場に行かない日はゆっくり休もうと思いつつも、身体の緊張がずっと解けないままなので(これが解けたときは入院するときになるかも…)、休みたくても休まらず。
寝付くのは眠剤飲んでなんとかなるんだけど、いつもより平均2時間くらい早くに目が覚めてしまうのはどうにもならず。
普通だったら「もっと寝る〜」って思えば何度寝でもできるんだけど、今は一度目が覚めるともう眠れません。
やっぱ寝てても緊張解けてないんですね。
胃の調子も一時よりは回復したけど、ちょっと油断するとまたすぐにダメージがくるので気を許せません。
まあ、そんな話はどうでもいいんですが、本題はここから。
これから観る人のためにネタバレは極力避けようと思っていたのですが、ちょっとショックなことに気づいてしまったのでこれは書こうと思います。
今回の作品、もとは多分3時間くらいあったと思います(稿を重ねて自分なりにストイックに削りまくったつもりですが)。
正直、長いです。
大劇場系の演目はけっこう長いのが当たり前だったりしますが(休憩時間も長いですし)、決して座り心地のよい椅子とは言えない狭い劇場でストレートプレイ3時間というのは、いくら休憩を入れたとしても長いです。
「おもしろければ3時間でもあっという間だが、つまらなければ30分でもお尻が痛くなる」…というのは舞台をよく観る人なら実感することではあるのですが、蓋を開けてみなければ、おもしろくなるかどうか、短く感じてもらえるかどうかがわからない新作の場合、長時間になるのは非常にリスキーと言わざるをえません。
実際、エコーでいつも上演する作品では2時間半を越えるものはまずないと思います。
そういうわけで、なんだかんだで合計すると30分くらいカットされました。
カットが嬉しい作家なんてまずいないと思います。
誰よりも長く作品と向き合ってきたのですから、一字一句削られたくないというのが本音です。
一言切られるたびに文字通り身を切られるような思いをします。
それでも「全体を短くするためにはどこかを切らなければしかたないんだ」と自分に言い聞かせるわけですが、セリフを切っておいてべつの場所で余計なセリフをいつのまにか加えられてたりすると「こんなの足せる余裕があるんならさっきのセリフ戻してよ」と思うときもあります。
まあ、思うだけで言いませんけどね。
もちろん、作家以外だからこそできる「なるほど〜」というカットもたくさんあります。
セリフ以外のもの(おもに演出ですが)が加わることで「あ、このセリフは不要だわ」と気づくこともありますし。
でも、カットのこわいところは、その部分じゃなくて他に影響が出るってこと。
カット前には成立していたバランスが、ひとつのセリフをカットすることで崩れてしまう場合があるんです。
バランスっていうか、「設定」って言ったほうが近いかな。
作家や演出家はカット前の状態を知っているから、それが脳内にインプットされちゃって、削ってもパソコンのキャッシュみたいな感じで残っちゃってる。
でも当然のことながら観客はカット前に入ってたセリフなんて知らないし、何度も観るわけではないので、何度も何度も読み返して再現して確認しているキャストやスタッフとはスタンスが違う。
その違いっていうのが、意外に落とし穴になるんですよね。
今回、観てきた人の感想を聞いているうちに、思いがけずそれをみつけてしまったんです。
それは冒頭に流れる劇団明星の創設者・広川(納谷さん)のセリフ。
以下、台本から転載します。
ああ、この俺が世の嘲りの的となって、身動きもならず、
じりじりと進む時の針先にこの身をさらすことになろうとは!
いや、それならばまだ耐えてみせよう。
だが、俺の心を大切にしまっておいたおまえのその胸、
生きるも死ぬるもここと思いさだめた場所、
俺の命の川がほとばしりもすれば涸れはてもする泉──。
そこから投げ捨てられてしまうのは耐えられない!
その泉を、けがらわしいヒキガエルどもがつるんだり孕んだりする水溜まりにしようというのか!
実際はもう少し短く刈り込まれていますが、冒頭で暗闇の中からこのセリフが流れてきて、そこから話が始まります。
さらに、何度か場面転換のときに広川の肖像画(稽古場に掲げられているという設定)に照明が当たり、その都度同じセリフが繰り返され、それに対して登場人物がそれぞれリアクションのセリフを返すわけです。
じつはこのセリフ、『オセロー』のセリフからの引用なのですが、それがわからなかった人が予想以上に多かったんです。
いや、お客さんが『オセロー』を知らないのはいいんです。
逆にこのセリフをきいただけでいきなり『オセロー』のあの場面のセリフだなとわかる人のほうが非常に限られてると思います。
でも、これが『オセロー』のセリフだということは、知らない人でも最後まで観ればわかるように初稿ではなっていたんですよ。
舞台では、アラカンたちによって再現される『オセロー』の劇中劇が何度か差し挟まれるんですが、その中に同じセリフが出てくるんです。
具体的にはオセローがデズデモーナに「おまえ、俺を裏切っただろ」とネチネチ責め立てるシーンですが。
そこを観れば「ああ、さっきから納谷さんの声で何度も流れるあのセリフってこのシーンのセリフだったんだ」「昔、広川が演じたときのオセローのセリフだったんだ」と普通にわかるようになってたわけで、八神が片瀬に向かって言い放つ「将軍、用心なさい。嫉妬というやつに。こいつは緑の目をしたバケモノです」というセリフも、次の稽古場シーンで八神演じるイアーゴーが同じセリフを言うので『オセロー』のどこで出てくるセリフなのかわかる。
ところが、劇中劇のシーンが長過ぎるということで、かーなーりーバサバサ切りまくった結果、冒頭のセリフもカットされてしまったんですね。
そりゃあわかんないわなー。
なんかあれ、広川自身のセリフ(リアルなセリフではなく警句のような抽象的なイメージ)だと思ってる人が多いようで。
台本には「『オセロー』第4幕第2場のセリフ」と但し書きがつけてあるし、関係者はもうオセローのセリフだってわかってるんで、わかんないとか思いもしなかったんですが、それだけにショックでした。
まあ、それでも本編に支障がないといえばないんだけど、自分の中では『オセロー』の中であのセリフをみつけた瞬間から、他の話がすべて『オセロー』がらみでたちあがってきたという経緯があるので、 (´・ω・`)ショホ゛ーンでした。
自分のアイデンティティーとなる「神聖な泉」が、オセローにとってはデズデモーナだったわけですが、じゃあ片瀬にとっては?…月島にとっては?…八神にとっては?…と順番に語られていき、もっとふくらんでアラカンたちにとっては?…明星にとっては?…役者にとっては?…観客にとっては?……と広がっていけばいいなと思ったんですが、オセローにこだわった意味がカットされるたびに削られていってしまうのがちょっと寂しかったです。
上演中にこんなことを書くのはルール違反かもしれません。
上演されたらもうその作品は作家のものではなくなりますし、どう受け取られようとそれはそれでまるごと受け止めなければいけないということはわかっているのですが、何人もの人から「え?あれオセローのセリフだったの?」と言われたのがショックだったのと、その原因があのカットにあったのか!と気づいたことがショックだったのと、二重にショックだったので思わず書いてしまいました。
ネタバレというたぐいの話ではないので書きましたが、やっぱりカットって難しいですね。
小椋キャシオーではないですが「失敗した〜。カットはこわ〜い!」という気分です。
泣き笑いなう
- 2011/11/12 (Sat)
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無事初日を終えました。
今回、稽古期間がギリギリなのに、仕事で稽古に出られない人は出るし、ケガで稽古出られない人は出るし、結石で稽古出られない人はいるし(←それは自分)で、本当にどうなっちゃうのかと不安でいっぱいでしたが(リアル『アラカン!』状態!)、お陰さまですばらしいスタートをきることができました。
なんと、初日から「ダブルコール」をいただきました!
ダブルコールとは、芝居が終わったあとの役者挨拶で、いったん袖にはけてからもさらに拍手が続き、もう一度役者が挨拶に登場すること。
名前の売れてる役者さんが集まるプロデュース公演や、ミュージカルなんかだとダブルコールは珍しくない…というか、慣例になってるようなところがあるんですが、エコーの公演ではダブルコールってまずないらしくて、役者さんたちも「え?なにこれ」って感じでびっくりしてオタオタしていました(^_^;)
カーテンコールの役者さんたちの笑顔は輝いていて、素に戻って喜んでいる様子が最後列からでもビンビン伝わってきて感動しました。
うん。舞台上でのあんなに嬉しそうな顔、観たの初めてかも。
「私も今同じ気持ちですよ〜!」と叫びたくなりました。
それにしても初日のお客様、本当によく笑ってくださいました。
稽古ではスカスカに見えた微妙な「間」が、細か〜いところまで見事に笑いで埋め尽くされていて、最後のピースが今入ったって感じ。
いつもだと、一発目が仕込まれ、それに対する二発目のリアクションで笑う…というふうになるところも、一発目で爆笑きちゃって二発目のセリフが完全にかき消されてしまったりして、これには役者さんも驚いていたようです。
そして、パンフにも書きましたが、今回私が目指した「笑ってるのか泣いてるのかわからなくなる境地」……それがたしかに見えた瞬間がありました。
今回のお芝居は、同じシェイクスピアのセリフを、最初と最後で流し、最初は悲劇的に、最後は喜劇的に聴こえるようにする…という目標設定があったんですが、なんと!
終盤、散々笑いがどっかんどっかん起こった末、喜劇的に聴こえる最後の締めのセリフまできたところ、客席のあちこちから「鼻をすする音」が聴こえてきたのです。
驚きました。
目指していたけれど、こんな形で現れるとは…。
多分、誰一人予想していなかったのではないでしょうか。
終演後には、客席で初日祝いをおこないましたが、なんかもうみんな異様なハイテンションで、すでに千龝楽の打ち上げのような盛り上がり方でした。
いや、まだ初日だから!
とつっこみたくなりましたが、南風さんはハイテンションながらも「千龝楽まではアルコールは飲まない」としっかりソフトドリンクを飲んでいましたし、「毎日今日みたいに良い反応がもらえるとは思ってないから。まだまだこれから」と気をひきしめている人もいましたし、皆さん「2日目落ち」のこわさは重々認識されているようでした。
ともあれ、幸せな初日を迎える事ができたのはこの公演にとってなによりも大きな財産です。
まだまだ公演は続きますが、キャストスタッフに病人やケガ人が出ないよう、無事終わりますよう、そして限りなく満席に近い日が続きますよう、祈っています。
今回、稽古期間がギリギリなのに、仕事で稽古に出られない人は出るし、ケガで稽古出られない人は出るし、結石で稽古出られない人はいるし(←それは自分)で、本当にどうなっちゃうのかと不安でいっぱいでしたが(リアル『アラカン!』状態!)、お陰さまですばらしいスタートをきることができました。
なんと、初日から「ダブルコール」をいただきました!
ダブルコールとは、芝居が終わったあとの役者挨拶で、いったん袖にはけてからもさらに拍手が続き、もう一度役者が挨拶に登場すること。
名前の売れてる役者さんが集まるプロデュース公演や、ミュージカルなんかだとダブルコールは珍しくない…というか、慣例になってるようなところがあるんですが、エコーの公演ではダブルコールってまずないらしくて、役者さんたちも「え?なにこれ」って感じでびっくりしてオタオタしていました(^_^;)
カーテンコールの役者さんたちの笑顔は輝いていて、素に戻って喜んでいる様子が最後列からでもビンビン伝わってきて感動しました。
うん。舞台上でのあんなに嬉しそうな顔、観たの初めてかも。
「私も今同じ気持ちですよ〜!」と叫びたくなりました。
それにしても初日のお客様、本当によく笑ってくださいました。
稽古ではスカスカに見えた微妙な「間」が、細か〜いところまで見事に笑いで埋め尽くされていて、最後のピースが今入ったって感じ。
いつもだと、一発目が仕込まれ、それに対する二発目のリアクションで笑う…というふうになるところも、一発目で爆笑きちゃって二発目のセリフが完全にかき消されてしまったりして、これには役者さんも驚いていたようです。
そして、パンフにも書きましたが、今回私が目指した「笑ってるのか泣いてるのかわからなくなる境地」……それがたしかに見えた瞬間がありました。
今回のお芝居は、同じシェイクスピアのセリフを、最初と最後で流し、最初は悲劇的に、最後は喜劇的に聴こえるようにする…という目標設定があったんですが、なんと!
終盤、散々笑いがどっかんどっかん起こった末、喜劇的に聴こえる最後の締めのセリフまできたところ、客席のあちこちから「鼻をすする音」が聴こえてきたのです。
驚きました。
目指していたけれど、こんな形で現れるとは…。
多分、誰一人予想していなかったのではないでしょうか。
終演後には、客席で初日祝いをおこないましたが、なんかもうみんな異様なハイテンションで、すでに千龝楽の打ち上げのような盛り上がり方でした。
いや、まだ初日だから!
とつっこみたくなりましたが、南風さんはハイテンションながらも「千龝楽まではアルコールは飲まない」としっかりソフトドリンクを飲んでいましたし、「毎日今日みたいに良い反応がもらえるとは思ってないから。まだまだこれから」と気をひきしめている人もいましたし、皆さん「2日目落ち」のこわさは重々認識されているようでした。
ともあれ、幸せな初日を迎える事ができたのはこの公演にとってなによりも大きな財産です。
まだまだ公演は続きますが、キャストスタッフに病人やケガ人が出ないよう、無事終わりますよう、そして限りなく満席に近い日が続きますよう、祈っています。
初日なう
- 2011/11/11 (Fri)
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いよいよ初日を迎えました。
ついこの間まで暑くて夏物がしまえなかったのに、今日は冷たい雨。
何を着ていけばいいのか直前までわからなくて困ります(>_<)
当日券は出るようですが、初日はほぼ満席になったみたいです。
この冷たい雨の中を劇場まで足を運んでくださるお客様に心から感謝です。
どうか皆様に楽しんでいただけますように。
それだけを願っています。
ところで、今日は11年11月11日。
1が6連続で並ぶ日なんですよね。
だからなんだと言われると困るんですけど、なんか縁起がいい気がします。
さらに。
前に数えたことがあるんですが、私が今まで書いた作品に登場する人物は全部で100人いるんです。
つまり、今回の『アラカン!』に登場する人物が通し番号101番からになるわけです。
だからなんだと言われるとただそれだけなんですが、これまた新しいスタートのような気がします。
上演時間は休憩入れて2時間45分程度と言っていましたが、最終的にが2時間30分程度にまで短縮された模様。
それでも普段のエコーの上演作品の中では長いほうです。
長さを感じさせないほどあっという間に終わる公演になれば嬉しいです。
では、行ってきます!
ついこの間まで暑くて夏物がしまえなかったのに、今日は冷たい雨。
何を着ていけばいいのか直前までわからなくて困ります(>_<)
当日券は出るようですが、初日はほぼ満席になったみたいです。
この冷たい雨の中を劇場まで足を運んでくださるお客様に心から感謝です。
どうか皆様に楽しんでいただけますように。
それだけを願っています。
ところで、今日は11年11月11日。
1が6連続で並ぶ日なんですよね。
だからなんだと言われると困るんですけど、なんか縁起がいい気がします。
さらに。
前に数えたことがあるんですが、私が今まで書いた作品に登場する人物は全部で100人いるんです。
つまり、今回の『アラカン!』に登場する人物が通し番号101番からになるわけです。
だからなんだと言われるとただそれだけなんですが、これまた新しいスタートのような気がします。
上演時間は休憩入れて2時間45分程度と言っていましたが、最終的にが2時間30分程度にまで短縮された模様。
それでも普段のエコーの上演作品の中では長いほうです。
長さを感じさせないほどあっという間に終わる公演になれば嬉しいです。
では、行ってきます!
舞台稽古なう
- 2011/11/08 (Tue)
- 稽古 |
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恐ろしい早さで時間が経過していく…。
舞台稽古もほとんど見られないうちに気がつけば初日まであと3日!
なんかずっとチケット業務に追われてる感じです。
昨日は久しぶりに通し稽古を観ました(衣装もありで)。
ギャラリーも少しずつ増えてきて(劇団員ですが)、客席からの笑い声も聴こえてくるようになりました。
が、この「笑い」というのが曲者。
あさってはゲネなので、さらにたくさんの劇団員が集まると思いますが、このときの「笑い」と、本番での「笑い」は全然違う!
劇団員の笑いはどうしても「ああ、(自分の知ってる)あの人がこんなことしちゃってぷぷぷっ」みたいな笑いになりがちですが、本番に来られるお客様はそんな笑い方はしません。
もちろん、役者さんの知り合いも来られるでしょうが、役者全員を知ってるわけではないでしょうし。
ですから、本番では思いもかけないところで笑いがきたり、こなかったりするのです。
厳密に言うと毎公演違うんですが、特にゲネと本番の差は大きいですね。
この「笑いのくる場所の温度差」が毎回観ていて楽しくもあり、こわくもある部分です。
はたして今回はどんなところに反応がくるのか……ドキドキです。
チケットの最新情報です。
まだ売り止めは出ていませんが、今のところ一番売り止めに近いのは「初日(11日)」です。
ついで13日(日)と17日(木)。
ほぼ並んで12日(土)、16日(水)、千龝楽(23日)。
平日ソワレ(14日・15日・21日・22日)は相変わらず少ないですが、15日はちょっとのびてきました。
マチネでなぜか少ないのが18日(金)。
一日違いで同じ平日昼の17日(木)は多いんですけど。
不思議です。。。
今回、滅多に会えない(超ご無沙汰な)友人・知人が大勢足を運んでくださるので、それも楽しみです。
体力的に毎日は行けないので、全員にご挨拶できないのが心苦しいのですが…。
どうか皆さんに楽しんでいただけますように!
舞台稽古もほとんど見られないうちに気がつけば初日まであと3日!
なんかずっとチケット業務に追われてる感じです。
昨日は久しぶりに通し稽古を観ました(衣装もありで)。
ギャラリーも少しずつ増えてきて(劇団員ですが)、客席からの笑い声も聴こえてくるようになりました。
が、この「笑い」というのが曲者。
あさってはゲネなので、さらにたくさんの劇団員が集まると思いますが、このときの「笑い」と、本番での「笑い」は全然違う!
劇団員の笑いはどうしても「ああ、(自分の知ってる)あの人がこんなことしちゃってぷぷぷっ」みたいな笑いになりがちですが、本番に来られるお客様はそんな笑い方はしません。
もちろん、役者さんの知り合いも来られるでしょうが、役者全員を知ってるわけではないでしょうし。
ですから、本番では思いもかけないところで笑いがきたり、こなかったりするのです。
厳密に言うと毎公演違うんですが、特にゲネと本番の差は大きいですね。
この「笑いのくる場所の温度差」が毎回観ていて楽しくもあり、こわくもある部分です。
はたして今回はどんなところに反応がくるのか……ドキドキです。
チケットの最新情報です。
まだ売り止めは出ていませんが、今のところ一番売り止めに近いのは「初日(11日)」です。
ついで13日(日)と17日(木)。
ほぼ並んで12日(土)、16日(水)、千龝楽(23日)。
平日ソワレ(14日・15日・21日・22日)は相変わらず少ないですが、15日はちょっとのびてきました。
マチネでなぜか少ないのが18日(金)。
一日違いで同じ平日昼の17日(木)は多いんですけど。
不思議です。。。
今回、滅多に会えない(超ご無沙汰な)友人・知人が大勢足を運んでくださるので、それも楽しみです。
体力的に毎日は行けないので、全員にご挨拶できないのが心苦しいのですが…。
どうか皆さんに楽しんでいただけますように!
登場人物紹介なう
- 2011/11/03 (Thu)
- その他 |
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私も自分なりにプロモーションツールを作ってみました。
題して、「『アラカン!』登場人物ファイル」。
チラシの情報だけではざっくりしすぎてますし、かといってあんまり細かいネタバレをしても興ざめになるし……。
ということで、登場人物12名の紹介ページを作りました。
12名全員の役名と年齢、演じる俳優の写真(稽古場で撮ったもの)、役についての簡単な身上書が載っています。
今回、シノプシス(台本の構成案)を書くにあたってかなり詳しい人物設定表を作ったのですが、これはそれの簡易版です。
読んでから観るもよし。
観てから読むのもよし。
読んでから観てまた読むのもよし。
「こんな人たちが出てくる話だよ〜ん」
って感じで宣伝ツールに使っていただいたら嬉しいです。
こちらからとんでくださいね。
題して、「『アラカン!』登場人物ファイル」。
チラシの情報だけではざっくりしすぎてますし、かといってあんまり細かいネタバレをしても興ざめになるし……。
ということで、登場人物12名の紹介ページを作りました。
12名全員の役名と年齢、演じる俳優の写真(稽古場で撮ったもの)、役についての簡単な身上書が載っています。
今回、シノプシス(台本の構成案)を書くにあたってかなり詳しい人物設定表を作ったのですが、これはそれの簡易版です。
読んでから観るもよし。
観てから読むのもよし。
読んでから観てまた読むのもよし。
「こんな人たちが出てくる話だよ〜ん」
って感じで宣伝ツールに使っていただいたら嬉しいです。
こちらからとんでくださいね。
小屋入りなう
- 2011/11/01 (Tue)
- 稽古 |
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昨日、初めての通し稽古をおこないました。
間違えてもつまっても決して止めない。
まさにショーマストゴーオン。
でも、止めないからこそ見えてくる流れがある。
正直、これまではまだ全体像が見えてこなくて手探り状態に思えましたが、通し稽古でぐっと視界良好になったように感じました。
さらに、今までもうひとつ決まりきらなかったラストシーンの演出が決まり、できあがりのイメージが一気にわいてきました。
そして今日。
通し稽古を経て、あきらかに稽古場の空気もほぐれてきたように感じました。
稽古場では、稽古に入る前、冒頭に流れるビデオ映像の撮影がおこなわれました。
これは、劇団明星シニア部のプロモーション映像という設定で、稽古場で汗を流すアラカンたちの様子が流れます。
多少「やらせ」っぽい映像で…という指定が(台本上)されているので、わざとカンペをたててそれをチラ見しながらしゃべらせたり…とあざとさ満載の撮影シーンとなりました(笑)。
稽古シーンの撮影では、エキストラとして若手研究生たちもアラカン役で駆り出されました。
顔を写すと若いのがバレてしまうので、微妙に顔が写らない角度で、そして柔軟とかも身体かたそうな感じで(^_^;)
ちなみに、ナレーションは演出助手の中芝さんがつとめました。
どんなプロモーション映像ができるのか楽しみです。
その頃、下の劇場では……。
大道具の搬入と仕込みがおこなわれていました。
いよいよ今日から小屋入りです。
帰り際に覗きにいきましたが、古めかしくて重厚感のある稽古場の装置が組まれていました。
5階のエコーの稽古場とはまったく違う雰囲気です。
オセローのセリフが似合うこの稽古場で、アラカンたちがどんなふうに暴れてくれるのか、しばし客席で想像を楽しんでしまいました。
明日からはここで稽古が始まります。
本番と同じ装置の上でおこなう稽古が多くとれるのは何よりの贅沢。
これからがラストスパートです!
間違えてもつまっても決して止めない。
まさにショーマストゴーオン。
でも、止めないからこそ見えてくる流れがある。
正直、これまではまだ全体像が見えてこなくて手探り状態に思えましたが、通し稽古でぐっと視界良好になったように感じました。
さらに、今までもうひとつ決まりきらなかったラストシーンの演出が決まり、できあがりのイメージが一気にわいてきました。
そして今日。
通し稽古を経て、あきらかに稽古場の空気もほぐれてきたように感じました。
稽古場では、稽古に入る前、冒頭に流れるビデオ映像の撮影がおこなわれました。
これは、劇団明星シニア部のプロモーション映像という設定で、稽古場で汗を流すアラカンたちの様子が流れます。
多少「やらせ」っぽい映像で…という指定が(台本上)されているので、わざとカンペをたててそれをチラ見しながらしゃべらせたり…とあざとさ満載の撮影シーンとなりました(笑)。
稽古シーンの撮影では、エキストラとして若手研究生たちもアラカン役で駆り出されました。
顔を写すと若いのがバレてしまうので、微妙に顔が写らない角度で、そして柔軟とかも身体かたそうな感じで(^_^;)
ちなみに、ナレーションは演出助手の中芝さんがつとめました。
どんなプロモーション映像ができるのか楽しみです。
その頃、下の劇場では……。
大道具の搬入と仕込みがおこなわれていました。
いよいよ今日から小屋入りです。
帰り際に覗きにいきましたが、古めかしくて重厚感のある稽古場の装置が組まれていました。
5階のエコーの稽古場とはまったく違う雰囲気です。
オセローのセリフが似合うこの稽古場で、アラカンたちがどんなふうに暴れてくれるのか、しばし客席で想像を楽しんでしまいました。
明日からはここで稽古が始まります。
本番と同じ装置の上でおこなう稽古が多くとれるのは何よりの贅沢。
これからがラストスパートです!
位置決めなう
- 2011/10/26 (Wed)
- 稽古 |
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10/24に稽古を見てきました。
稽古初日以来2週間ぶりです。
本を離しての立ち稽古に入っていましたが、皆さんセリフはまだ完全には身体に入っていない模様。
演出の指示は、おもに「動き」とか、全体のバランスを考えながらの位置決めとかが中心でした。
おもしろかったのは「人物の配置」です。
場所は「稽古場」。
そこにアラカンたちが集まり、劇団の人たち(演出家など)が彼らを指導するというシチュエーションなのですが、演出家によって「誰をどっち向きに座らせるか」というポジショニングはさまざま。
今回で言えばアラカンたちは客席から見てどっち向きに座るのか。
永井さんはけっこうこれにこだわりがあるように思います。
同じ作品を複数の演出家にやってもらったときも、永井さんだけ他と全然違ってて「なるほどー」と思いました。
同じセリフを言うのでも、どの位置でどこに向かって言わせるかで印象がまったく変わります。
演出がうまければセリフの内容も人物関係もぐっとわかりやすくなる。
それはポジショニングのセンスによるところ大だと思います。
演出家や役者にとってはそんなの常識だと思いますが、私は上演されてみて初めてわかりました。
さて、今回のポジショニングは?
皆さん、事前にある程度想像してから本番の舞台を確認すると、さらに楽しめるかもしれませんよ。
この日は前半までしか見られませんでしたが、やはり動きがついたほうがいろいろ明確になりますね。
後半はもっと難しくなるので期待が高まります。
チケットの販売状況ですが、16日のシアタートークの日が一番伸びがいいようです。この日をご希望の方はお急ぎください。
ついで土曜日の公演(12日と19日)。
平日昼公演では17日もいいですね。
逆に、お席に余裕があるのは平日夜の4公演(14日・15日・21日・22日)。
平日夜が売れないのは最近の興行界全体の傾向なのでこれは想定内なんですが、おそらく最後に残るのはこの4公演だと思われます。
状況は刻々と変わりますので、また随時報告しますが、「平日夜でも可」という方、ぜひソワレに足をお運びください。
稽古初日以来2週間ぶりです。
本を離しての立ち稽古に入っていましたが、皆さんセリフはまだ完全には身体に入っていない模様。
演出の指示は、おもに「動き」とか、全体のバランスを考えながらの位置決めとかが中心でした。
おもしろかったのは「人物の配置」です。
場所は「稽古場」。
そこにアラカンたちが集まり、劇団の人たち(演出家など)が彼らを指導するというシチュエーションなのですが、演出家によって「誰をどっち向きに座らせるか」というポジショニングはさまざま。
今回で言えばアラカンたちは客席から見てどっち向きに座るのか。
永井さんはけっこうこれにこだわりがあるように思います。
同じ作品を複数の演出家にやってもらったときも、永井さんだけ他と全然違ってて「なるほどー」と思いました。
同じセリフを言うのでも、どの位置でどこに向かって言わせるかで印象がまったく変わります。
演出がうまければセリフの内容も人物関係もぐっとわかりやすくなる。
それはポジショニングのセンスによるところ大だと思います。
演出家や役者にとってはそんなの常識だと思いますが、私は上演されてみて初めてわかりました。
さて、今回のポジショニングは?
皆さん、事前にある程度想像してから本番の舞台を確認すると、さらに楽しめるかもしれませんよ。
この日は前半までしか見られませんでしたが、やはり動きがついたほうがいろいろ明確になりますね。
後半はもっと難しくなるので期待が高まります。
チケットの販売状況ですが、16日のシアタートークの日が一番伸びがいいようです。この日をご希望の方はお急ぎください。
ついで土曜日の公演(12日と19日)。
平日昼公演では17日もいいですね。
逆に、お席に余裕があるのは平日夜の4公演(14日・15日・21日・22日)。
平日夜が売れないのは最近の興行界全体の傾向なのでこれは想定内なんですが、おそらく最後に残るのはこの4公演だと思われます。
状況は刻々と変わりますので、また随時報告しますが、「平日夜でも可」という方、ぜひソワレに足をお運びください。
アラツイなう
- 2011/10/19 (Wed)
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体調は回復してきましたが、稽古にはまだ出られていない状況です。
稽古場では「荒立ち」に入ったようですが…。
テアトル・エコー制作部で期間限定の『アラカン!』専用ツイッター」を作ったそうです。
皆様、どんどんフォローしてくださいませm(_ _)m
稽古場では「荒立ち」に入ったようですが…。
テアトル・エコー制作部で期間限定の『アラカン!』専用ツイッター」を作ったそうです。
皆様、どんどんフォローしてくださいませm(_ _)m
カウンタ
公演概要
テアトル・エコー公演vol.142「アラカン!」
作 ●唐沢伊万里
演 出●永井 寛孝
公演日●2011年11月
11日(金)19;00
12日(土)14;00
13日(日)14;00
14日(月)19;00
15日(火)19;00
16日(水)14;00
17日(木)14;00
18日(金)14;00
19日(土)14;00
20日(日)14;00
21日(月)19;00
22日(火)19;00
23日(水)14;00
計13回公演
料 金●一般5,000円(全席指定)
会 場●エコー劇場(恵比寿)
前 売●10月8日開始
問合せ●テアトル・エコー
作 ●唐沢伊万里
演 出●永井 寛孝
公演日●2011年11月
11日(金)19;00
12日(土)14;00
13日(日)14;00
14日(月)19;00
15日(火)19;00
16日(水)14;00
17日(木)14;00
18日(金)14;00
19日(土)14;00
20日(日)14;00
21日(月)19;00
22日(火)19;00
23日(水)14;00
計13回公演
料 金●一般5,000円(全席指定)
会 場●エコー劇場(恵比寿)
前 売●10月8日開始
問合せ●テアトル・エコー
※割引料金、出演者情報などの詳細はエコーHPにてご確認ください。
※16日は終演後シアタートークあり。
プロフィール
HN:
唐沢伊万里
性別:
女性
職業:
劇作家
趣味:
ガーデニング
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